失業保険をわかりやすく解説！受給条件から手続き、よくある質問まで

失業は、不安な出来事ですよね。

そんな時に心強い味方となるのが「失業保険」です。

失業保険は、失業中の生活を支え、再就職への道のりをサポートするための大切な仕組みです。

この記事では、失業保険の受給条件、手続きの流れ、もらえる金額や期間、さらにはよくある質問まで、解説します。

万が一の時に備えて、失業保険について正しく理解し、安心して再就職活動に臨みましょう。

失業保険とは？簡単に解説

失業保険とは、会社を辞めたり、会社から解雇されたりして仕事がなくなったときに、失業中の生活を支え、再就職の支援として支給される手当です。

たとえば、会社が倒産して仕事がなくなったり、自分の都合で会社を辞めたりした場合に、一定の条件を満たせば、失業保険を受給することができます。

失業保険を受けるメリット

失業保険を受けるメリットは、大きく分けて次の3つがあります。

• 生活の安定: 失業中の生活費を確保することができます。
• 再就職活動への集中: 金銭的な不安なく、じっくりと求職活動に集中できます。
• 職業訓練の受講: ハローワークが提供する職業訓練を受講し、新たなスキルを身につけることができます。

失業保険の手続きの流れ

失業保険の手続きは、大きく分けて以下の流れになります。

1. ハローワークへの申込み: まずは、最寄りのハローワークへ行き、失業保険の手続きを開始します。
2. 必要書類の準備: 雇用保険被保険者証や離職証明書など、必要な書類を準備します。
3. 失業認定: ハローワークで失業状態にあることを認定してもらいます。
4. 失業給付の受給: 失業認定後、一定期間ごとにハローワークで失業認定を受け、失業給付を受給することができます。

失業保険を受けられる条件

誰が失業保険を受けられるの？

失業保険は、誰でも受けられるわけではありません。

一定の条件を満たしている人が対象となります。

受給資格がある人

雇用保険に加入していた人: 過去に雇用保険に加入していた期間が一定以上ある人。

失業状態にある人: 会社を辞めたり、解雇されたりして仕事がない状態の人。

求職活動を行っている人: ハローワークで求職活動を行い、就職の意思があることを示せる人。

受給資格がない人

雇用保険に加入していなかった人: 過去に一度も雇用保険に加入したことがない人。

自営業者やパートなど、雇用保険の対象外の人: 雇用保険に加入できない仕事をしている人。

病気やけがなどで働けない人: 健康上の理由で働けない人は、一般的には失業保険の対象外です。ただし、例外もありますので、ハローワークにご相談ください。

必要な被保険者期間

失業保険を受給するためには、過去に雇用保険に加入していた期間が一定以上必要です。

この期間を「被保険者期間」といいます。

必要な被保険者期間

失業保険の受給期間や金額は、離職理由によって異なります。

• 自己都合退職: 一般的に、会社都合退職に比べて受給期間が短くなる場合があります。
• 会社都合退職: 倒産、整理解雇など、会社側の都合で退職した場合、自己都合退職に比べて受給期間が長くなる場合があります。
• 特定理由離職者: 期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合など、特定の理由で離職した場合、受給期間が長くなる場合があります。

失業保険の手続きの流れ

失業保険の手続きは、思っているよりも簡単です。この記事では、ハローワークへの申込みから失業給付の受給までの流れを、ご説明します。

ハローワークへの申込み

まず、お近くのハローワークに直接訪れ、失業保険の手続きを開始します。

必要書類の準備

ハローワークで求められる書類を準備しましょう。

• 雇用保険被保険者証: 雇用保険に加入していたことを証明する書類
• 離職票: 前職の会社からもらう離職票には、離職理由や賃金などが記載されています。
• 本人確認書類: 運転免許証、パスポートなど、本人であることを確認できる書類
• 印鑑: 銀行印など、普段使っている印鑑を持参しましょう。
• 通帳: 失業給付金が振り込まれる口座の通帳を持参します。

失業認定

ハローワークで、失業状態にあることを認定してもらいます。

• 失業認定日: ハローワークから指定された日に、失業認定を受けに行きます。
• 求職活動: 失業認定日には、求職活動を行っていることを証明する書類（求人への応募履歴など）を提出します。
• 失業認定申告書: 失業認定の際に、失業認定申告書に必要事項を記入します。

失業認定は、原則として4週間ごとに受けなければなりません。

失業給付を受給するためには、積極的に求職活動を行う必要があります。

失業給付の受給

失業認定後、一定期間ごとに失業認定を受け、失業給付を受給することができます。

• 受給期間: 離職理由や被保険者期間などによって、受給期間は異なります
• 支給額: 過去の賃金や年齢などを基に、支給額が決定されます。
• 支給方法: 指定した口座に、原則として毎月振り込まれます。

失業認定と求職活動

失業認定とは、ハローワークが、あなたが失業状態にあることを確認し、失業給付を受ける資格があるかどうかを判断する手続きのことです。

目的	失業給付の不正受給を防ぎ、あなたが真摯に就職活動を行っていることを確認するため
頻度	一般的に4週間ごとに失業認定を受けます
内容	失業認定の際には、求職活動を行ったことを証明する書類（求人への応募履歴など）を提出します。

求職活動の重要性

失業給付を受け続けるためには、積極的に求職活動を行うことが求められます。

失業給付受給の条件

失業給付を受給するためには、求職活動を行い、就職の意思があることを示す必要があります。

再就職への近道

求職活動を通じて、自分の適性や興味のある仕事を見つけることができます。

モチベーション維持

求職活動は、失業期間中のモチベーションを維持する上で重要な役割を果たします。

認められる求職活動の例

求職活動として認められるものには、以下のようなものがあります。

• 求人への応募: ハローワークや求人サイトなどを通じて、求人に応募する
• ハローワークの職業相談: ハローワークで職業相談を受ける
• 職業紹介: ハローワークや民間職業紹介事業所を通じて、仕事を紹介してもらう
• 職業訓練: ハローワークが実施する職業訓練を受講する
• 企業説明会への参加: 企業説明会に参加し、企業について詳しく知る
• 就職セミナーへの参加: 就職に関するセミナーに参加し、就職活動のノウハウを学ぶ
• 資格取得のための勉強: 将来の就職に役立つ資格を取得するための勉強をする
• ポイント:
• 求職活動の記録: 求職活動の内容を記録しておくと、失業認定の際に役立ちます。
• ハローワークの相談: 求職活動で困ったことがあれば、ハローワークの職員に相談しましょう。
• 多様な求職活動: 上記以外にも、様々な求職活動が認められます。

失業認定は、失業給付を受給するためには欠かせない手続きです。積極的に求職活動を行い、再就職を目指しましょう。

失業給付の金額と期間

失業給付の金額や期間は、人によって異なります。

ここでは、失業給付の金額の計算方法や、受給期間、そして高年齢受給者や特定理由離職者など、特別なケースについてご説明します。

１日当たりの給付額 【基本手当日額】

失業している日に受給できる１日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
原則として、離職の日以前の６か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を 180 で割って算出した金額（「賃金日額」といいます）のおよそ５～８割で、賃金の低い方ほど高い給付率となっています。また、基本手当日額には、上限額・下限額が定められています。

失業時にハローワークで配布されるパンフレットより（大本：厚生労働省）

基本手当の給付日数 【所定給付日数】

失業給付の受給期間には、退職理由や勤務年数・年齢によって異なります。

失業時にハローワークで配布されるパンフレットより（大本：厚生労働省）

支給の開始と期間 【待期】【給付制限】【受給期間】

受給期間は、離職の日の翌日から１年間です。

受給期間を過ぎてしまうと、給付日数が残っていても支給されません。

高年齢受給者、特定理由離職者などの特例

失業給付の金額や期間は、個人の状況によって異なります。

特定受給資格者との違い

特定理由離職者と混同しやすいものに、「特定受給資格者」があります。

特定受給資格者は、会社都合による退職、例えば倒産や解雇などが該当します。

特定受給資格者は、一般の離職者や特定理由離職者よりも手厚い給付を受けられる場合があります。

特定理由離職者は、自己都合退職ではあるものの、やむを得ない事情がある場合に認められる区分です。

特定受給資格者・特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、離職理由により、ハローワーク
が行います。

正確な金額や期間を知りたい場合は、ハローワークに相談することをおすすめします。

失業保険に関するよくある質問

失業保険（雇用保険の基本手当）は、失業中の生活を支え、再就職活動を支援するための大切な制度です。

ここでは、よくある質問をQ&A形式でまとめ、具体的な事例を交えながら解説します。

失業保険はどのような人がもらえますか？

失業保険は、雇用保険に加入していた方が、離職し、就職しようとする意思と能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態にある場合に受給できます。

具体的には、以下の要件を満たす必要があります。

• 離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること（特定受給資格者・特定理由離職者の場合は、離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上）。
• ハローワークで求職の申し込みを行い、失業の認定を受けていること。

（事例1）Aさんは、会社都合で退職しました。離職日以前の2年間に、雇用保険の加入期間が1年半ありました。Aさんはハローワークで求職の申し込みを行い、失業の認定を受けました。この場合、Aさんは失業保険を受給できます。

（事例2）Bさんは、自己都合で退職しました。離職日以前の1年間に、雇用保険の加入期間が5か月でした。この場合、Bさんは失業保険を受給できません。

失業保険はいつから、どのくらいもらえますか？

失業保険は、ハローワークで求職の申し込みを行った日から通算して7日間の待期期間の後、支給が開始されます。

支給される期間（所定給付日数）は、離職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって異なります。

また、支給される金額（基本手当日額）は、離職直前6か月の賃金に基づいて計算されます。

（事例）Cさんは、会社都合で退職しました。離職時の年齢は35歳、雇用保険の加入期間は5年です。
Cさんの場合、所定給付日数は90日となります。基本手当日額は、Cさんの離職直前6か月の賃金から計算されます。

失業保険をもらっている間にアルバイトをしてもいいですか？

失業保険を受給中でも、アルバイトをすることは可能です。

ただし、アルバイトをした日は、その労働時間によって「就労」または「内職・手伝い」として扱われ、基本手当の支給額が減額または支給されない場合があります。

• 1日の労働時間が4時間以上の場合：「就労」とみなされ、その日の基本手当は支給されません。
• 1日の労働時間が4時間未満の場合：「内職・手伝い」とみなされ、収入額に応じて基本手当が減額されることがあります。

アルバイトをした場合は、必ず認定日にハローワークに申告する必要があります。

（事例）Dさんは、失業保険を受給中に、週3回、1日3時間のアルバイトを始めました。
この場合、Dさんは「内職・手伝い」として扱われ、収入額に応じて基本手当が減額される可能性があります。Dさんは、アルバイトをしたことを認定日にハローワークに申告する必要があります。

失業保険の手続きはどのようにすればいいですか？

失業保険の手続きは、以下の手順で行います。

1. 離職後、ハローワークに離職票を提出し、求職の申し込みを行います。
2. ハローワークで受給資格の決定を受けます。
3. 説明会に参加し、失業認定日などの説明を受けます。
4. 指定された認定日にハローワークに行き、失業の認定を受けます。
5. 失業の認定を受けることで、基本手当が支給されます。

手続きには、離職票、マイナンバーカード（またはマイナンバー通知カードと身分証明書）、印鑑、写真（必要な場合）などが必要です。

給付制限とは何ですか？

給付制限とは、自己都合退職の場合などに、基本手当の支給が一定期間（通常は2か月または3か月）制限されることです。

これは、自己都合退職の場合、会社都合退職と比べて失業の責任が本人にあると考えられるためです。

ただし、特定理由離職者（病気やケガ、妊娠・出産・育児などやむを得ない理由で離職した方）は、給付制限がありません。

これらのQ&Aは一般的な情報であり、個々の状況によって異なる場合があります。詳細については、最寄りのハローワークにお問い合わせください。

最後に

失業保険は、雇用保険に加入していた方が、失業中に一定の条件を満たすことで受給できる給付金です。

この記事を通して、失業保険制度への理解を深め、万が一の際に安心して活用できるようになることを願っています。

失業は誰にとっても不安な出来事ですが、失業保険を正しく理解し活用することで、再就職へのステップを力強く踏み出せるはずです。

ご不明な点があれば、最寄りのハローワークに相談することをお勧めします。